コラムcolumn
【家族信託とは】2023/04/05
【我が国の総人口(2022年9月15日現在推計)は、前年に比べ82万人減少している一方、65歳以上の高齢者(以下「高齢者」といいます。)人口は、3627万人と、前年(3621万人)に比べ6万人増加し、過去最多となりました。】
※総務省統計局参照
人生100年時代と聞いたことはございますが、上記統計について逃れられない事実です。
現在日本の国内の問題提起として挙げられている少子 高齢化に対して、今回不動産面に焦点を当てて述べさせて頂きます。
まず1点目として挙げられることは晩婚化です。
現在の日本社会において物価高上昇や円安など様々要因が挙げられますが、少なくとも漠然として今の日本で子育てを想定した際に、若者からすると不安要素が多過ぎます。
そのため、一意見として持ち家より比較的にライフスタイルに合わせて変化できる賃貸需要が若干高まっているのではないかと考えております。
いつになったら安定した経済状況が得られるかわからない以上賃貸にメリットを感じる方も多いのではないでしょうか。
次に高齢化による相続問題です。
相続にまつわる不動産の問題は今後増える可能性が高いと考えています。
相続について、相続後ではなくしっかり家族間で話合い、事前に整理する事で紛争が起こりにくく、また税金面でもメリットが生まれるケースこともございます。
今回相続とは若干異なりますが、家族間で事前に資産について話し合うといった観点から「家族信託」といったスキームについて説明させて頂きます。
- 家族信託とは
民事信託とも称され、家族の生活や財産を守るという家族のための信託契約です。
つまり、所有権のある不動産において、「管理をする権利」と「お金をもらう権利」にわけた際に「管理をする権利」だけを移し、「お金をもらう権利」はそのままの所有者に残すことが出来ます。
よって不動産の管理は信頼できる家族に任せ、家賃や売却代金はそのまま所有者が得ます。
家族信託は財産の管理制度として、認知機能の低下等で財産管理が甘くなった高齢者の大事な財産が、一部相続人などによる使い込みや、特殊詐欺にあったりしないように、信頼できる受託者に財産を移転して、高齢者や障害を有するお子さんの生活を守り、しかも確実に円滑な資産の承継を実現しようという制度です。
上記図では財産の名義が移転しますが、受託者の固有財産になるわけではなく、受託者に贈与税が課税されることもございません。
「信託譲渡」という仕組みによって委託者にとって不利益を被ることなく、もし委託者に予期せぬ事態が起こったとしても、受益者に対して迷惑をかけずに済むこととなります。
代表例として、認知症になった後の医療費や介護費用の管理を家族に任せたいというケースです。
本人が介護費用や医療費に充てる財産を持っていても、何の対策もしないまま認知症になってしまうと、財産を動かせなくなってしまいます。
あらかじめ家族信託で受託者を決めておけば、認知症になってしまった場合でも本人の財産を自由に動かすことが可能です。
他には、収益物件の管理を任せたい場合や、財産管理を裁判所の指定する第三者ではなく家族に任せたい場合などには、家族信託が有用です。
- 信託内容
信託契約書に記載しなければならない主な事項は以下の通りです。
なお、家族信託は契約内容の柔軟性が非常に高いため、上記の内容の他にもさまざまなことを細かく決めておくことができます。
このとき、契約者同士での認識がずれている状態で手続きを進めてしまうと、後に契約内容で揉めたり、希望通りの財産管理ができなくなってしまったりする恐れがあるため、細部まで話し合う必要がございます。
- 信託契約書
信託契約書は公正証書にする必要がございます。
※「公正証書とは、私人(個人又は会社その他の法人)からの嘱託により、公証人がその権限に基づいて作成する文書のこと」 です。
法務省HP “https://www.moj.go.jp/MINJI/minji30.html”
- 不動産がある場合
信託財産に不動産がある場合は、登記をする必要がございます。
不動産の登記名義を委託者から受託者に変更する「所有権移転登記」と、受託者が自身の財産と信託財産を分別管理することを表明する「信託登記」を行い、その不動産で信託が行われていることを公に明らかにできます。
- 家族信託専用の口座を開設する
信託財産は受託者自身の財産と分けて管理しなければなりません。
そのため、銀行口座を分け、信託財産は信託専用の口座である信託口口座で管理することが一般的です。
ただし、この信託口口座を開設できる金融機関は限られていますので、事前に確認する必要がございます。
・まとめ
信託契約において契約者当事者間での打ち合わせ、法的提出書類の作成や不動産があれば登記など、個人で行うには少しハードルが高いため士業や信託銀行といった専門家に依頼する事が望ましいと考えております。
冒頭にも述べさせて頂いた通り、高齢化により不動産所有者様が何か有事が起こってからでは遅いケースもあるため、事前に家族間もしくは専門家に相談してみては如何でしょうか!?
弊社でも相続に特化した専門家との繋がりもあるためお気軽にご相談ください。