コラムcolumn
税金逃れは名義じゃ無理!サラリーマン大家の危ない橋2024/09/26
先日、元タレントの羽賀研二被告が不動産に絡む虚偽の登記に関して逮捕されるニュースがありました。羽賀被告は、自身の財産を他人名義にすることで債権者からの差押えを逃れることを目的としたとされています。この事件は、単なる有名人の不正行為として片付けるのではなく重大な教訓として捉えていただきたいです。不動産投資をしているサラリーマン大家さんにとっても、このような形式的な名義変更や手続きが、知らず知らずのうちに違法行為に発展する可能性があることを十分に認識すべきだからです。
▶税金対策が招く落とし穴
多くのサラリーマン大家さんは、不動産投資を通じて資産形成を図る一方で、節税対策を意識してさまざまな方法を取っています。例えば、配偶者や子供など家族名義に不動産を変更することで、相続税や所得税の負担を軽減しようとするケースがよく見られます。しかし、これが単なる「名義変更」に過ぎず、実際の所有・運用が引き続き自分で行われている場合、法的には「虚偽登記」や「通謀虚偽表示」(民法94条)に該当する可能性が高くなります。
羽賀研二被告のケースでは、表向きは財産を他人名義にしたものの、実際には財産を自分でコントロールしていたことが問題となりました。不動産の名義を変更しても、実質的な所有者が変わらない場合、その行為は法律上「詐害行為」とみなされる可能性があり、債権者や税務当局からの厳しい追及を受けることになります。
▶サラリーマン大家さんのよくある過ち
不動産投資をしているサラリーマン大家さんが陥りやすい過ちは、税理士やアドバイザーの助言に基づいて、節税対策を意図した形式的な手続きを行うことです。例えば、家族名義に不動産を移すことで税金の負担を軽減しようとすることは、法的に認められる範囲内であれば問題ありません。しかし、実際には家族に所有権や運用権を移していない、単に名義だけを変更している場合、これが違法行為とされるリスクがあります。
また、不動産投資では資金繰りが厳しい局面に陥った際、債権者からの差押えを避けるために、第三者名義に不動産を移すことを検討する人もいます。しかし、これも「名義貸し」として虚偽登記とみなされ、後に裁判所によって無効にされる可能性が高いです。こうした行為は、最終的に不動産を失うだけでなく、刑事責任を問われるリスクも伴います。
▶違法行為とならないための対策
では、どのようにすればサラリーマン大家さんが違法行為に巻き込まれず、適切な不動産投資を行うことができるのでしょうか?まず第一に、税金対策を検討する際は、法律に精通した専門家の助言を受けることが重要です。特に、名義変更や譲渡契約書の作成に関しては、実質的な所有権の移転が行われているかどうかが重要なポイントです。
名義を変更した後、その不動産の管理・運営を家族や名義を受け取った人が行い、事実上の所有者が変わっている場合には問題は少ないでしょう。しかし、実際には所有者が変わらず、単に税金を減らすためや債権者から逃れるための形式的な変更であると、違法とされる可能性があります。
さらに、税務署や裁判所が「実質」を重視することを理解しておく必要があります。形式的に契約書や登記を変更したとしても、実際にその不動産を誰が管理しているか、誰が利益を享受しているかといった事実が重視されます。羽賀研二被告のケースは、形式と実質の乖離が法律違反として追及された典型例です。
▶結論
不動産投資は、資産形成や節税のために有効な手段ですが、税金対策や債権者対策を行う際には、形式的な手続きが違法行為とならないよう慎重に検討する必要があります。サラリーマン大家さんも、自身の投資が法律に反しないよう、常に最新の法律情報を得て、専門家と連携しながら進めることが重要です。
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