コラムcolumn
【アパートにおけるゴミ屋敷問題と対応策】2023/10/03
アパートにおいて、ゴミ屋敷問題は一部のオーナーにとって深刻な悩みの種となっています。
しかし、アパートをゴミ屋敷にした住人に対しては、すぐに退去させることは容易ではありません。
なぜなら、借主の居住権は借地借家法によって保護されており、契約解除には正当な理由が必要とされるからです。
借地借家法28条では、立ち退きについて定めています。
要約すると、借主の居住権を奪うには「正当な事由」が必要であり、その主張が認められない限り契約解除ができないということです。
28条によれば、正当な事由として以下の4つが挙げられます。
・貸主が該当する部屋に住まなくてはいけなくなった場合
・貸主と借主の間で信頼関係が破綻した場合
・建物が老朽化し、建て替えが必要な場合
・立退料の支払いを申し出た場合
アパートをゴミ屋敷化させた住人に対して立ち退きを求める場合、信頼関係の破綻が事由として該当します。
しかし、ゴミ屋敷を理由に立ち退きを申し出るには、以下のような状況を証明する必要があります。
・ゴミ屋敷状態が常識を超えていること
・再三の注意を無視し、2年以上にわたって改善が見られないこと
このような状況を証明するためには、口頭や文書でゴミを片付けるように注意し、その結果を記録しておくことが重要です。
ただし、訴訟に発展する前に、以下の4ステップに従って対応することをおすすめします。
ステップ1: ゴミを片付けるように口頭や文書で注意する
まずは、直接住人に対してゴミを片付けるよう口頭や文書で注意します。
この際、具体的な日時や内容を記録しておくと後の証拠に役立ちます。
ステップ2: ゴミを片付けるように内容証明郵便を送る
口頭や文書での注意にもかかわらず改善が見られない場合は、内容証明郵便を送りましょう。
内容証明郵便は誰がいつどんな内容の手紙を送ったかを証明してくれるので、後に訴訟に発展した際の証拠として有効です。
ステップ3: 行政に相談する
内容証明郵便を送るのと同時に、アパートでゴミ屋敷が発生していることを行政に相談しましょう。
行政はゴミ屋敷を調査し、指導や勧告を行う場合があります。
行政に相談した記録は、後の訴訟において有利になることがあります。
ステップ4: 明け渡し訴訟をする
これまでの対応が改善をもたらさない場合は、明け渡し訴訟を起こしましょう。
裁判所に訴訟を提起し、和解調停や判決の段階に進むことが考えられます。
和解調停で合意に至れば和解同意書を作成し、退去日などの具体的な内容を取り決めます。
以上のステップを踏むことで、ゴミ屋敷によって信頼関係が破綻したことを証明し、契約解除に向けた対応を行うことができます。
ただし、以下の点には注意が必要です。
・住人に対して名誉毀損を行わないよう注意する。
・勝手に住人のものを処分しない。
・自力で退去を促さない。
これらの行為は法的な問題を引き起こす可能性があるため、適切な手続きを踏むよう心掛けましょう。
アパートにおけるゴミ屋敷問題は慎重な対応が必要ですが、適切な手続きを取ることで問題解決に向けた一歩を踏み出すことができます。