コラムcolumn
【スケルトンリフォームとは】2023/05/19
【スケルトンリフォームとは】
スケルトンリフォームとは、住居の内装や設備をすべて解体して行う大掛かりなリフォームのことです。
不動産やリフォーム業界では、住宅や店舗の内部・外部・あるいは両方を解体し、柱・梁・床といった建物の要となる「躯体」だけにした状態のことを言います。
スケルトンリフォームは間取り変更などにととまらず、骨組以外をまるごと変えられるリフォームなので、新築同様の住み心地にできる一方で、建て替えよりは大幅に費用を抑えられる点も魅力です。
リフォーム内容や範囲によっても異なりますが、大まかに家を新築する1/3〜2/3程度が費用の相場と考えておくと良いでしょう。
【スケルトンリフォームでできること】
古い建物でも内装を一新できるため、「代々家族が住んできた家をそのまま残しつつ、住み心地は現代のライフスタイルに合ったものにしたい」、「再建築不可物件のため建て替えることができないが、生活空間は全体的にキレイな状態にしたい」といった要望も叶えることができます。
住まいに思い入れがあって建て替えは避けたい方や、建築条件によって建て替えができない場合には特におすすめです。
また、近年は戸建ての1階、もしくは2階だけのスケルトンリフォームも人気です。キッチンや浴室、リビングなど、生活への影響が特に大きい部分を総入れ替えすることで、建て替えなくても快適な暮らしを手にすることができるのです。
ただ、スケルトンリフォームが出来ない物件もあります。
ツーバイフォー(2×4)やプレハブ工法などで建築された物件は、柱や梁ではなく壁の「面」で家を支えています。そのため、スケルトンリフォームは可能ではあるものの、壁を取り払う間取りの変更はできないので注意が必要です。
また、マンションでは管理規約でリフォーム内容や範囲が限られる場合が多くあります。
専有部分のみのリフォームとなり、外壁や玄関ドアのリフォームはできません。
マンションによっては工事に使用して良い製品や、業者まで指定されていることもあります。事前に管理規約に目を通し、管理組合に確認しておきましょう。
【スケルトンリフォームの種類】
・内部のみスケルトン
外壁の傷みが少ない、あるいは外壁はそのままにしたい場合に、建物の内部のみをスケルトンリフォームする方法です。
間取りの変更や水まわり、階段の位置変更など、建物内部を大きく変えるリフォームが可能です。
また、柱や基礎への耐震補強、壁の内側へ断熱材を入れることもできます。外壁を壊さないため、費用を抑えられるのがメリットです。
マンションの場合は占有部分のみリフォームが可能なため、選択肢は内部スケルトンリフォームのみです。
・外部スケルトン
外部スケルトンは、内部には手を加えずに外壁だけを解体する工事のことです。
外壁の傷みが全体に及んでおり、塗装だけでは解決にならない場合に行います。
外部スケルトンだけを行うことは少なく、一般的なスケルトンリフォームのイメージからは少し離れたものとなります。
・内部+外部スケルトン
建物の躯体のみを残してすべてを解体する工事です。
再建築不可やセットバックのために建て替えができない、建て替えると既存の住宅よりも狭くなってしまうといった場合に多く選択されるリフォームとなっています。
躯体を傷つけずに作業する必要があるため、解体は手作業で行います。
また、解体に伴って廃材の量が多くなること、建物の外側を新たに作ることなどの理由から費用は最も高くなります。
内外ともにスケルトンリフォームを希望する方の多くは、「せっかくリフォームするなら外側もキレイにしたい」、「住まいのイメージを一新したい」という理由からです。
しかし、外壁の傷みが少ない場合には塗装する、窓を増やしたい場合にはその部分に穴を開けて個別にサッシを入れるなど、外側をスケルトンリフォームしなくても要望を叶えられる場合もあります。
【スケルトンリフォームのメリット】
・間取りの変更が可能に
スケルトンリフォームは建物を躯体のみの状態に戻すため、間取りの変更が可能となります。逆に言えば、間取りの変更を行いたい場合、部分的にでもスケルトンにする必要があるということです。
家の住み心地を最高レベルにまで引き上げたいとき、間取りを自由に変更できればイメージに沿ったリフォームが可能となるでしょう。
また、住まい全体をバリアフリーにしたい場合にもスケルトンリフォームが適しています。
・給排水菅や配線を一新できる
建物はまだまだ住める状態でも、給排水管や電気配線の老朽化によって問題が出てくることがあります。
スケルトンリフォームなら、配管・配線を修繕したり、新しくしたりする作業もしやすくなります。
配管・配線は建物よりも早く寿命が来るため、これらを一新するためにスケルトンリフォームを検討される方も多いかもしれませんね。
また、「全室無線LANを通したい」といった要望も叶えることができます。
・水回りの位置変更可能
キッチンやトイレ、浴室といった水まわりの設備の位置を変更するときには、配管の位置も合わせて変更する必要があります。
スケルトンリフォームなら配管・配線の位置変更もしやすくなるため、水まわりの位置変更がスムーズになり、リフォームの自由度が上がります。
・古い再建築不可物件でも新築同様の住み心地に
建て替えを行うためには、幅4m以上の道路に2m以上(一部地域では6m)接した土地であることが条件の一つとなります。
この条件を満たさない物件は、火災や地震などの際に避難する通路を確保するため、建築基準法で「再建築不可」とされています。
再建築不可物件は建物を壊して建て替えることはできませんが、スケルトンリフォームは可能です。スケルトンリフォームで内装や設備を一新すれば、快適に住むことができるでしょう。
再建築不可物件は古い物件のため建物の価値が低い、またはほぼ価値がないことがほとんどです。そのため、同じ地域の物件でも比較的安い金額で購入できます。
新築一戸建てでは手が出ないエリアでも、再建築不可物件+スケルトンリフォームなら所有できるというパターンも。
住みたい地域で安く購入した再建築不可物件にスケルトンリフォームを施して住むという選択肢は、近年人気が高まっています。
【デメリット】
・コストが高くなる可能性
スケルトンリノベーションは機械を用いずに、職人さんがスケルトン状態にしていくため、工期が長くなるケースが多く、必然的にコストが高くなってしまいます。
内装だけでなく、屋根・外壁まで含めるとさらに工期がかかります。
要望と予算のバランスをとりつつ進めていかないと、予算オーバーになりかねません。また、仮住まいの費用も念頭に置いておきましょう。
【まとめ】
今回はスケルトンリフォームについてご紹介させていただきました。
建て替えの次に大規模なリフォームが可能となるスケルトンリフォーム。
「もう建て替えるしかないかも」と思っていても、実際にはスケルトンリフォームで充分要望を満たすことができるかもしれません。
住まいの老朽化で全体的なリフォームを考えているなら、スケルトンリフォームを視野に入れておくと良いでしょう。
また、もし具体的に検討されているなら、スケルトンリフォームの施工事例を見て、どんな家にしたいかのイメージを膨らませてみてはいかがでしょうか。
この記事をきっかけにスケルトンリフォームに興味を持っていただければ幸いです。