コラムcolumn
【タワマンの相続税評価額を引き上げへ】2022/12/14
近年、高層マンションの行き過ぎた節税が問題視されている中、
2023年、不動産鑑定士や学者らで構成する有識者会議を設置し、具体策を考え、評価方法を定める通達の改正や、24年度以降の税制改正を検討すると国税庁が発表しました。
本日は、行き過ぎたタワマン節税の問題となっている内容について掲載させていただければと思います。
マンションの相続税評価額は、建物と土地の価値を基に算出します。
土地分は、国土交通省が示す「公示地価」の8割を目安に算出した「路線価」が基準となります。
タワーマンションは設備や景観なども考慮され、実勢価格が周辺相場よりも高くなることが多いです。
資産家にとっては、現金で相続するよりも、タワーマンションで相続した方が納税額を抑えることができます。
その通り、タワーマンションは節税にもってこいの不動産です。
しかしその一方で、「2017年に税制改正が行われたため、タワーマンションは節税にならなくなった」という声も耳にします。
しかし、2017年の税制改正は「固定資産税」に限定されたものです。
固定資産税は、「建物1棟に対して税金がいくら」という決め方をします。
相続税に関しては、現在もまだまだ節税対策には有効のままです。
実際に起きた、行き過ぎた相続税対策の実例を紹介させていただきます。
既に、マスメディア等でご存じの方も多いかと思われますが、
問題となったのは、相続を巡って東京都杉並区と川崎市にある2棟のマンション。
札幌市の男性が2009年に計13億8700万円で購入し、子供らが12年に相続しました。
相続人である子供らは路線価を基に2棟の価格を計約3億3370万円と評価。
購入時の借入金などを差し引き、相続税額を「0円」と申告した。
相続税法は、相続財産は「時価」で評価すると規定。
国税庁は利便性などのため、原則として路線価で評価するとした通達を出しているが、同じ通達の中で、
著しく不適当な場合は国税庁長官の指示で再評価できるとしています。
札幌南税務署は、この例外規定を適用して価格を計12億7300万円と再評価し、約3億3000万円を追徴課税した。
相続人は追徴課税の取り消しを求めて訴えを起こしたが、一審、二審とも追徴課税は適法と判断。
最高裁でも「路線価などによる画一的な評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反する事情がある場合は例外規定を用いる合理的な理由がある」という判断が示され、相続人側の敗訴が確定しました。
■まとめ
2017年の法改正によって、固定資産税の評価方法には変更がありました。
よって固定資産税は本来の税額に少し近づいたといえます。
しかし、節税に大きく関わるのは遺産を相続した際にかかる相続税の方です。
遺産を現金で所有しているよりも建物を購入して所有した方が、
相続税評価額が低くなることには変わりありません。
そのため、政府、与党、国税庁を中心に相続税評価額の見直しに本格的に着手する方向で具体案をまとめていくとの事です。
今後の動向や新たな制度に注目していきたいと思います。
最新の情報や同行を随時、掲載させていただければと思います。