コラムcolumn
【公示地価 15年ぶり上昇】2023/04/03
【公示地価の上昇】
国土交通省が22日発表した2023年1月1日時点の公示地価は、住宅地や商業地といった全用途の全国平均が前年比1.6%上昇しました。
上昇は2年連続で、リーマン・ショック前の08年(1.7%)に次ぐ水準となりました。
新型コロナウイルス下で緩やかに景気が持ち直す中で、都市部を中心に地価の上昇が継続し、回復傾向が顕著となりました。
三大都市圏では大阪圏の商業地が3年ぶりに上昇へと転じました。
【公示地価とは】
国土交通省が毎年3月に公表するその年1月1日時点における全国の標準地の土地価格を公示(公的機関が一般の人に公表すること)するもので、一般の土地取引や相続税評価・固定資産税評価の目安として活用されるとともに、公共用地の取得、金融機関の担保評価、企業が保有する土地の時価評価の基準・指標としても活用されます。この地価を公表することを「地価公示」といい、地価公示によって公表された価格を「公示地価」といいます。
もっとわかりやすく…一般的に、不動産は何十回、何百回と頻繁に購入するものではありません。また、同じ場所に全く同じ不動産はこの世に2つとありません。
加えて、土地は一つ一つの形も違い、面積も異なります。
そのため、不動産の本当の価値や価格をつけることは難しく、結果として売主の言い値や買主の付け値によって取引価格が異なってしまいます。
しかし、一般消費者が土地取引や資産価値をはかるにあたって、その土地の適正な価格がいくらなのかという客観的な目安は必要です。
とはいえ、土地の特性(角地・南向き・高低差がない・前の道路の幅が広い・駅に近いなど)や取引する人のそれぞれの事情(借金返済のために早く売らなければならないなど)から、実際の取引では公示地価より高い場合も低い場合もあります。
あくまでも公示地価というのは、それぞれの事情などが取り除かれた、自由な取引において通常成立すると考えられる1㎡あたりの価格を示しています。
また公示地価は、土地のみの価値を示すため、建物がない状態である更地(さらち)として価格を出します。これは一戸建やマンションなどの建物部分は、広さだけでなく建築年数や建築費用も違い、土地と併せて計算するとより複雑になり、比較が難しくなるためです。
住宅地や商業地など周辺の状況や形・広さを考えて、標準的な土地を公示地価の対象として選んでいます。その地域の価格の基準となる標準地をどこに選ぶかは重要です。そのため標準地は特に次の点に留意して選ばれています。
・代表性(だいひょうせい):その地域全体の地価水準をできる限り代表しうるものであること
・中庸性(ちゅうようせい):近隣の地域での土地の利用状況、環境、面積、形状等が片寄らず調和がとれているものであること
・安定性(あんていせい):近隣地域での安定した土地の利用状況に配慮したものであること。利用状況が移行している場合はその変化にも十分配慮したものであること
・確定性(かくていせい):明確に他の土地と区分され、範囲が特定できるものであること
【地価公示法】
(目的)
第1条 この法律は、都市およびその周辺の地域等において、標準地を選定し、その正常な価格を公示することにより、一般の土地の取引価格に対して指標を与え、および公共の利益となる事業の用に供する土地に対する適正な補償金の額の算定等に資し、もって適正な地価の形成に寄与することを目的とする。
(土地の取引を行なう者の責務)
第1条の2 都市およびその周辺の地域等において、土地の取引を行なう者は、取引の対象土地に類似する利用価値を有すると認められる標準地について公示された価格を指標として取引を行なうよう努めなければならない。
つまり、地価公示とは地価を公表すること、公示地価は地価公示によって国から公表された土地価格ということになります。
【公示地価を発表する理由】
・一般の土地の取引に対して指標を与えること
・不動産鑑定の基準となること
・公共事業用地の取得価格算定の基準となること
・土地の相続評価および固定資産税評価についての基準となること
・国土利用計画法による土地の価格審査(基準地価)の基準となること
上記のような理由があります。
【まとめ】
今回公示地価について説明させていただきました。
地価公示は地価を公表すること、公示地価は国から公表された土地価格ということになります。
あなたが土地の適正な価格がいくらなのか知りたいときに、国が公表している客観的な目安となる土地の鑑定価格が公示地価ということなのです。
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