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消火器の交換と保守 建物所有者の義務と責任とは2023/06/12
2011年に消火器の規格が改正され、2010年以前に製造された消火器は設置不可となりました。
古い型式の消火器がまだ設置されている建物も多くあります。
このような状況を考慮し、特例として2021年12月31日まで旧規格の消火器の設置が認められていましたが、現在は設置が認められていません。
消火器の設置義務を把握していないと、いつのまにか消防法に適さない状態に陥っている可能性もあります。
そこで、本記事では消火器の設置義務や、旧規格の消火器を使用し続ける場合の罰則規定、消火器の交換方法について解説します。
まず、消火器の設置義務がある建物には以下のようなものがあります
延面積に関係なく設置が必要な建物:劇場、映画館、飲食店(火を使用する)、病院、地下街など
延面積150平米以上の建物:百貨店、展示場、旅館、ホテル、共同住宅、公衆浴場、工場、倉庫など
延面積300平米以上の建物:小学校、中学校、高等学校、図書館、博物館、神社、寺院など
これらの建物では、型式承認された消火器を設置することが義務付けられています。
もし消火器が未設置だった場合、または旧規格の消火器を設置していた場合でも、消防法違反となります。
旧規格の消火器を使用し続けると、消火器自体が未設置と見なされます。
建物の所有者には、消防用設備等の設置維持命令が発せられる可能性があります。
設置維持命令を受けた後も設置されなかった場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が課せられる可能性があります。
ただし、すぐに罰則が適用されるわけではありません。
まずは設置維持命令が発せられ、その後も命令に従わなかった場合に罰則が適用されます。
しかし、罰則のリスクだけでなく、消火器を交換することには重要な理由があります。
古い規格の消火器は年数が経過し、効果的な火災対応能力を持っていない可能性があります。
実際に、過去には古い消火器の破裂事故が多数報告されており、これらの事故は財産の損失や人身事故につながる可能性があります。
したがって、消火器の交換は所有者にとって重要な義務であり、また建物の安全性を確保するためにも必要な措置です。
消火器の製造年を確認し、必要に応じて新しい規格に適合した消火器に交換することは、火災の早期鎮火や被害の最小化につながる重要な手段です。
消火器の交換については、不動産管理会社を通じて手配する場合や、自主管理物件の所有者が自ら手配する場合があります。
管理会社に依頼する場合は、消防設備点検や交換作業を適切に行っているかチェックしましょう。
自主管理物件の所有者は、消火器の入手や交換手続きについて調査し、適切な消火器を入手する必要があります。
また、消火器の廃棄についても注意が必要です。
廃棄物処理は地方の指示に従い、適切な方法で行う必要があります。
消火器をリサイクルする場合は、消火器リサイクル推進センターなどの専門機関に連絡し、手続きを行うようにしましょう。
建物の所有者として、消火器の交換と保守を怠ることは、法的な罰則だけでなく、火災による被害や責任を招くリスクをもたらす可能性があります。
そのため、消火器の適切な設置とメンテナンスは漏れなく行うことが重要です。